教室を出たら、映画館から出たような錯覚に囚われました。

takuzemi2012-05-24

 夏のような陽気の一日となりました。背広の上着が邪魔に感じられるほどの暑さです。今日は午後からの授業なので、ゆっくりと荷物を詰めて家を出ました。元荒川に架かる出津橋のふもとの赤目ヤナギも燃え上がるような青葉の勢いです。
 大学に着いて授業の準備に取り掛かりました。ハンドアウトにざっと目を通しました。今日、学生諸君に観てもらうかも知れないビデオやDVDを数本選んでおきました。今日の文学の授業では漱石の『虞美人草』について語る予定です。受講生が469名もいる巨大授業となってしまい困っています。学生からのリアクションも生かしたいのですが、なかなか難しいのが本当のところです。
 ハンドアウト水村美苗さんの「「男と男」と「男と女」−藤尾の死」という論文を抜粋して作ったものです。今日の授業では水村さんの論旨をていねいに追っていくことに重点を置いてみました。『虞美人草』のあらすじも分かりやすく語り直さなければなりません。英文学者の高山宏さんの言葉に『虞美人草』は会話の部分だけを読めば戯曲として読めてしまうという説があります。一人でも多くの学生諸君に漱石のテクストに当たって欲しいという思いから、この高山さんの説も紹介しておきました。最後に少々時間が余ったのでDVDの『ユメ十夜』の第二夜を観ておきました。大スクリーンが映画の銀幕に変身です。授業が終わって教室を出たら、映画館から出たような錯覚に囚われました。