学生諸君を前に話し始めたら気分が乗ってきてしまいました。

 早めに昼食を済ませて家を出ました。大学へと向かう武蔵野線の車中では熊倉千之先生の『漱石の変身』(筑摩書房)を読み直しました。もっとも傍線を引いてある部分をあちらこちらと拾い読みしただけですが。熊倉先生の『漱石のたくらみ』と『漱石の変身』の二冊には本当に感謝しています。漱石の作品群をこんなにも豊かなものとして読み解いていく手際には本当に感心させられてしまいます。
 昼休みのうちに13101大教室に移動して受講者名簿と今日のハンドアウトをセッティングしておきました。受講生が469名もいるので、各自に名簿に記入してもらって出席を管理しています。完璧とは言えないのですが仕方ありません。
 午後1時には13101教室に戻りました。今日のハンドアウトは熊倉先生の『漱石の変身』を紹介する内容のものです。夏目漱石の『門』の分析が中心となっています。『門』は私の好きな本でもあります。主人公の野中宗助もその妻の御米も大好きなキャラクターです。学生諸君を前に話し始めたら気分が乗ってきてしまいました。結局、90分一杯に話が続いてしまいました。
 放課後は研究室で読書をして過ごしました。今日は「つまみ食い読書」とでも呼ぶべき時間を送りました。二冊の本をスキミングしたのです。眞鍋貞樹著『閉鎖社会を生きる』(山川出版社)と福田和也著『村上春木12の長編小説』(廣済堂出版)というミスマッチでかけ離れた二冊の本を楽しみました。