日本より頭の中の方が広いでしょう」という言葉です。

takuzemi2012-06-01

 夏目漱石の『三四郎』の中でのエピソードです。大学入学のため上京する途上の列車の中で、三四郎は後に広田先生だと知ることになる中年男と出会います。男は富士山を評して「あれが日本一の名物だ。あれより外に自慢するものは何もない」と断言します。三四郎が「然しこれから日本も段々発展するでしょう」と言うと、男は「亡びるね」と吐き捨てるように言います。日本の近代化を漱石は主体性のない「外発的」なものだと捉えていたからです。主体的に、「内発的」に自分の進むべき方向を見つけていくことが望まれるのです。この後に広田の台詞が続きます。「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より頭の中の方が広いでしょう」という言葉です。
 荷物を点検してバックパックに詰め込みました。9時過ぎの電車で大学に移動しました。英米科の準備室で同僚のT先生や助手のKさんと明後日の父母教の「一日大学」の準備について少々打ち合わせておきました。
 新国立劇場宮本亜門演出の『サロメ』が上演されるとの記事を昨日の毎日夕刊で読みました。平野啓一郎氏の新訳テクストを台本として、多部未華子さんがサロメの役を演じるとのことです。新国立劇場のチケットセンターに研究室から電話してみました。6月11日の月曜日が研究日になっていて好都合です。電話口の担当の方も親切に対応してくれて助かりました。自宅の近くのセブンイレブンで13桁の番号を告げるとチケットが購入できるとのことです。今から楽しみですね。