演劇論ではカーニバルとコメディア・デラルテについてお話ししました。

 3限の演劇論ではカーニバルとコメディア・デラルテについてお話ししました。冬の終わりを祝うカーニバルはノモス(規範的なもの)とカオス(混沌としたもの)の二項対立から見ると圧倒的にカオスの側に入る祝祭ですね。非キリスト教的な行事である点から見るとヨーロッパの土着的な感性が根付いた行事なのかも知れません。父権的なキリスト教の支配の背後に母性的な土着の感性があるのがヨーロッパの精神だという説を読んだことがあります。・・・ハンドアウトは簡単に扱って授業の後半はソフィー・マルソー主演の『女優マルキーズ』を観ました。ニースの雑踏の中で踊りを踊って暮らしていた娘・マルキーズがモリエール一座の看板俳優グロ・ルネ(ふとっちょルネ)に見初められて結婚します。モリエール一座の女優となるのですが、なかなか自分の台詞を獲得することができません。セクシーな踊りばかりが前面に出てしまうからです。一人の女性が自分の言葉を獲得していくプロセスを描いた成長小説という見方もできそうな映画でした。
 4限の4年生のゼミは久し振りに盛会でした。教育実習に出掛けていた諸君が実習を終えて戻ってきたからです。今日も石原千秋先生の『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)の中から面白そうな部分をコピーして輪読してみました。柄谷行人の文章を利用して作った青山学院大学の入試問題です。脱構築ディコンストラクション)という思考方法がどのようなものなのかが分かりやすく説かれている良いテクストでした。ゼミの最後には学生諸君に近況も書いてもらってお仕舞いにしました。