10人ほども引き連れて、私の四畳半のアパートに泊まりに来るのです。

takuzemi2012-06-21

 昔の話しです。私の同い年の従兄に憲ちゃんという男がいました。私は京都の大学に通っていましたが、憲ちゃんは東京の明治学院大学に通っていました。リーダー格で友人たちから信頼されている男でした。英語が大好きで、ESSでは英語劇などの企画をして活躍していました。その憲ちゃんがESSの仲間たちを何と10人ほども引き連れて、私の四畳半のアパートに泊まりに来るのです。安いウィスキーの水割りを飲みながら深夜までお喋りをしたものです。疲れるとそのまま電気炬燵に足を入れて寝てしまうのですね。今から考えると良くもあんなしんどい生活が送れたものです。
 翌日にはバスを利用して大原などに繰り出したものでした。バスの中ではESSのメンバーの誰もが英語で喋るのです。居合わせた一般客の面食らった表情に思わず笑ってしまったものでした。医者の娘だったシガチンもいました。シガチンに恋をしていたオオムラ君もいました。三千院寂光院を回って楽しんだものでした。
 私が友人を連れて京都から東京に遠征することもありました。当時、明治学院大学のESSの仲間たちが拠点としていた酒場は目黒の権之助坂にあった「南蛮」という屋号のお店でした。談論風発という言葉がありますが、文学論、演劇論、英語論と話の種は止まるところを知りません。そんな濃密な時間を過ごしたこともあったのですね。シガチンやオオムラ君はどうしているのでしょうか?