放課後は大学図書館まで借りていた本を返しに行きました。

 3限の文学の授業では「カオスの遇し方〜イデオロギー装置としての物語〜」と題してお話ししました。ハンドアウトは土田知則・青柳悦子著『文学理論のプラクティス』(新曜社)からの抜き書きを再構成して作成したものです。先ずは子供のための二つの読み物『仕事をするミュスティ』と『どのように頭に石が当たり、ネズミさんは世界を発見するか』を比較対照する作業から取り掛かりました。
 著者たちは二つの読み物のあらすじを紹介した後で、『ミュスティ』に中心統一的・ノモス志向的・円環的(閉じたテクスト)・モノロジック・イデオロギー的・文法的などの属性を付与します。それに反して『ネズミ』にはカオス尊重的・離散=脱円環的(開いたテクスト)・脱中心的・ディアロジック・脱イデオロギー的・脱文法的などの属性が与えられます。
 村上春樹の小説や夏目漱石の後期小説が『ネズミ』と同様のカオス尊重的な属性を有していることを具体例を提示しながら説明しました。今日は自分でもなかなか楽しいお喋りができました。最後にねじめ正一さんと谷川俊太郎さんの「詩のボクシング」を観て授業を終えました。
 放課後は大学図書館まで借りていた本を返しに行きました。本を返却してから新刊書のコーナーを少々物色しました。余り面白そうな本も見当たりません。地下の本棚を見ることにしました。地下のコンピュータルームでは司書のSさんが学生諸君を前に何か説明しています。検索のオリエンテーションなのでしょうか。地下の本棚から熊倉千之先生の漱石論の本を2冊借りて研究室に戻りました。