温泉宿の中を彷徨する津田由雄にも不思議な夢が現れます。

takuzemi2012-07-11

 1限の英語研究基礎演習ですが今日は視聴覚教材を楽しむことにしました。テキストの『知へのステップ』も最後の1章を残すだけになっています。次週にゆっくりと片付けることにしました。今日は学生諸君とDVD鑑賞を楽しみました。見たのは夏目漱石原作の『坊っちゃん』です。かなり古い映画ですが、内容はしっかりしています。キャラクターデザインはモンキー・パンチさんが担当しています。
 ストーリーは原作にほぼ忠実に従っています。「ほぼ」と言ったのはマドンナの扱い方が例外的だからです。温泉で美しいヌードを披露するなど、かなり脚色されているのですね。マドンナは坊っちゃんの前にも何度も出没します。坊っちゃんはマドンナに対して淡い恋心を抱くという設定になっているのです。これも原作にはない脚色ですね。72分という放映時間も一駒の授業の中に調度収まるものでぴったりでした。
 2限の時間帯は研究室で明日の文学の授業をどう進めようかと考えました。柄谷行人氏の「内側から見た生」からの抜き書きを再構成してハンドアウトを作っています。漱石の「夢十夜」を分析した論文です。「夢十夜」の中から数編の作品を選んで学生諸君に朗読を聴いてもらうのも良いかも知れません。DVDの『ユメ十夜』を観てもらうのも良いでしょう。それにしても漱石という作家の中からこのようなテキストがなぜ生まれてきたのかを説明できたらと素晴らしいだろうと夢想してしまいます。『明暗』のラスト近くで温泉宿の中を彷徨する津田由雄にも不思議な夢が現れます。漱石の夢は私に取っては難問です。