研究室で相棒のFさんとランボー読書会を楽しみました。

takuzemi2012-07-24

 2限の時間帯は研究室で相棒のFさんとランボー読書会を楽しみました。ブリュネルの注釈の部分を読み終わって、しばらくランボー自身のテクストを読むことになります。今日は「狂気の処女」と「地獄の夫」が出てくる「錯乱?」のテクストを読み進めました。ところで、8月はFさんの仕事が忙しくなります。9月まで読書会は夏休みということになりました。
 昨日の夕方にはカフェに出掛ける前に駅前の須原屋書店に立ち寄ったのでした。夏目漱石の『明暗』をワイド版の岩波文庫で読んでみたくなったからです。お目当ては大江健三郎氏の「解説」です。 ノーベル賞作家の大江さんが漱石の『明暗』をどう読んだのかが興味津々です。
 大江さんは『明暗』には三人の少年が出てくると指摘しています。その三人のどれもが<犬>のメタファーを付与されていると言うのですね。そして大江さんは<犬>のメタファーを少年のイノセンスに結び付けているのです。これは大変に興味深い切り口でした。(主人公の津田由雄がイノセンスの境地にまで至るとは残念ながら書いてありません。)
 大江さんは明/暗の二項対立を生と死の二項対立と読み解いています。とりわけ津田由雄が清子を追い掛けて温泉地へ行くことを「冥界巡り」と解釈しています。百七十二章の冒頭に出てくる「黒い大きな岩のようなもの」が現世と冥界との境界石だと読むわけですね。書かれなかった部分では小林が窮地に陥った延子を助けて動くのではないかという推理もなかなか説得力がありました。この「解説」から色々のヒントをいただきました。