ラブコメディー「めぞん一刻」は80年代の傑作でした。

 安下宿「一刻館」の5号室の住人・五代裕作と下宿の管理人・音無響子の二人を巡るラブコメディー「めぞん一刻」は80年代の傑作でした。当時、私はあちらこちらの大学で非常勤講師としてフランス語を教えていました。月曜と火曜には市川市にある千葉商科大学まで通っていたのです。1限の授業に間に合うためには、朝の4時半に起きねばならず大変でした。しかし、月曜の帰路には西武新宿の駅で発売されたばかりの「週刊スピリッツ」を買い求めて読みながら帰るという楽しみもありました。
 大学に入ってからの五代裕作が期末試験に遅れそうになり、タクシーで一時間ほども走って大学に向かうというエピソードもありました。当時は私立大学で教育学部があったのは早稲田大学創価大学文教大学の3校でした。そこから、五代裕作は文教生だという説が出てきました。五代君の通っている大学のキャンパスの掲示板に「フランス語 T(先生名)休講」という掲示が出ていたこともありました。フランス語のT先生は文教大学に実在します。作者の高橋留美子さんのアシスタントに文教生がいるんじゃないかという噂が流れたこともありました。
 登場人物の苗字に数字が付くのも面白かった。一ノ瀬花枝、二階堂望、三鷹瞬、四谷、五代裕作、六本木朱美、七尾こずえ、八神いぶき・・・と続きます。そうそう、五代君が大学で所属していた人形劇のサークルが人間科学部のT先生が顧問をしていた児童文化研究会に酷似しているという噂も文教大学では有名でした。しかし、さすがに30年以上も昔のマンガです。現代の学生諸君に尋ねても、「知りません」という返事が帰ってくるばかりです。