頭が少々草臥れたのでキャンパスを散歩することにしました。

 3限のフランス語6では『星の王子さま』を原文で読み進めました。第5章の終わりのあたりから読み始めました。王子が日没の光景を眺めるのが好きだという有名なエピソードが出てくる第6章も読了しました。ある日には44回も太陽が沈むのを見たと王子が語る章ですね。第7章に入って少々進んだところで今日は止めておきました。残り時間でギュスターヴ・モロー美術館を紹介するビデオを見ておきました。洗礼者ヨハネの首が空中に浮かぶ「出現」「ヘロデ王の前で踊るサロメ」「踊るサロメ」「ユピテルとセメレ」などの名画を楽しみました。30年間もモローと同棲していた愛人アレクサンドリーヌ・デュルとのエピソードなども大変に興味深いものでした。
 頭が少々草臥れたのでキャンパスを散歩することにしました。学生食堂や体育館のあるメインの中庭を一回りしてから、守衛室の裏の森のように木立が聳えている一角を回りました。キャンパスには金木犀の樹が少なくとも三本はあります。そのどれもが今一斉に強烈な甘い香りを放っているのです。学生サークルの部室では何人かの部員たちが歓談している最中でした。
 3年生のゼミでは『ちくま評論選』の中の黒崎正男さんの文章「<私>はどこへ行く?」を読みました。20世紀の<私>はデカルトの<身体>と<私>の関係のように意識を持った<私>が主体でした。ところが21世紀には個人の情報がデータベース化され、そのデータベースが逆に<私>の意識よりも<身体>が重要となるという主張です。なかなか難しい論旨でした。