「逆さまに世界を見る」というブリューゲルの言葉には考えさせられます。

 多文化理解コースの同僚のT先生が昼休みに私の研究室にやって来ました。来年度の英文科の時間割を二人でチェックしました。それから多文化理解コースのゼミ希望者の応募状況に付いて少々打ち合わせをしました。T先生が私のところに希望している学生を少々受け入れてくれると言ってくれたので助かりました。小論文を読んでから考えるつもりです。
 1時からの3限のフランス語6では『星の王子さま』を原文で読み進めました。王子の星巡りの旅が始まっています。今日は王様の星でのやり取りを読み進めました。性格は善良なのだが、臣下の不服従は許せない王様がコミカルに描かれていて楽しめました。今日は作者のサンテグジュペリの簡潔な文章の味わいも堪能できたように感じられました。
 4限の4年生のゼミでは石原千秋先生の『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)の中から柄谷行人氏の『言葉と悲劇』を出典とする青山学院大学の問題を読みました。タイトルは「脱構築という方法」と付けられています。後半の石原先生のデリダ脱構築批評の解説が分かりやすくて面白く読めました。放課後に研究室でぼんやりと過ごしていたら、学生諸君と一緒に見たブリューゲルのことを思い出しました。ブリューゲルは橋の上から「逆さまに世界を見る」ために自分の股ぐらから風景を眺めようとしていたと言うのです。その時に心臓の発作を起こして亡くなったと言うことです。(写真は4号館の前のカリンの木の実です。誰かが身を取って並べていたのです。素晴らしい甘い香りが漂ってきました。)