「フランス語の美しさについて」というテーマでお話ししました。

takuzemi2012-12-05

 今日から多文化理解概論の講義が始まります。2限からの授業ですので9時過ぎにゆっくりと家を出ました。武蔵野線の車内から窓外の遠くの山々を眺めていたら、突然にランボーの詩の一節「ああ、季節よ、城よ。無疵なこころが何処にある。」(小林秀雄訳)が頭の中に浮かんできました。余りにも突然のことだったので呆然としてしまいました。
 多文化理解概論の一回目は「フランス語の美しさについて」というテーマでお話ししました。先ずは母音で終わる「開音節」が多いこと、子音で終わる「閉音節」が少ないことをお話ししました。そのために母音が響いて柔らかな言葉だという印象が残るのですね。次に「後置アクセント」と呼ばれる現象についてお話ししました。フランス語の発音は後ろの部分の方が強く長く発音されるという現象です。これもフランス語が柔らかな言語だという印象を与えてくれます。最後にフランソワ・コペの「鳥たちの死」という詩を読んでみました。12音節のアレクサンドランと呼ばれる定型詩です。一行ずつ音節を数えながら読んでみました。6行目の「ああ! 鳥たちが冬に死んでいかねばならないとは!」の部分は破格の10音節しかありません。これは作者コペの企みであると説明しました。脚韻では春の生命の復活を象徴する「スミレ」(violettes)と死を象徴する「骨」(squelettes)とが対比されている部分があります。これも作者の超絶技巧です。学生諸君に良く説明しておきました。動詞の時制が過去、現在、未来と変化していきます。しだいに心境を変化させていく詩人の内面を表しているのですね。良い授業が展開できました。