アラン・ロブ=グリエの文学講義について語りました。

takuzemi2013-01-24

 日頃から講義には苦労しています。講義物の科目で一つまた一つと片付いていくのは快感です。昨日の2限には「多文化理解概論」の最終回を語り終えました。「愛−12世紀の発明」というテーマで語りました。トリスタンとイゾルデの物語りから語り始めて、どうも媚薬で恋に落ちるというストーリーには人間の側の主体性が感じられないのではないかという話しをしました。passionという語には「情熱」と「受難」の二つの意味があります。要するに受動的な情念なのですね。ラシーヌの悲劇のように「人間は宿命を前にして自由ではない、運命は変えられない」というギリシャ的な宿命観が感じられるように思えました。
 今日の「ヨーロッパの文学」ではがらりと変わってアラン・ロブ=グリエの文学講義について語りました。ロブ=グリエの連続講義をインターネットラジオ局France Cultureで聴いたのはもう9年も前の2003年の夏のことです。自分のコンピュータに録画して、CDも焼いて繰り返して聴いたものでした。ロブ=グリエはユーモアのセンスのある作家で講義も大変に楽しいものでした。コクヨフィラーノート一冊に書き記したメモをA4で4ページほどのハンドアウトに圧縮したものです。パワーポイントのスライドが行方不明になり作り直すというハプニングもありましたが、今日は80分間楽しく講義を進めることができました。今日はほとんどパワーポイントのスライドに沿って語り尽くすことができました。早稲田の大学院でお世話になった平岡篤頼先生のことなどを思い出したものでした。