与野本町の彩の国さいたま劇場まで出掛けました。

 重松宗育師の『星の王子さま、禅を語る』(ちくま文庫)を表参道まで往復する電車の中で読了しました。著者は清水市で「星の王子さま、禅を語る」と題された講座を30年近くも前から続けてきたのだそうです。そうした地道な活動が背景になっているためか、大変に読みやすい一冊になっていると感じました。『星の王子さま』の中の名場面も見事に押さえているなと感心しました。
 夕方には家人と2人で連れ立って与野本町の彩の国さいたま劇場まで出掛けました。蜷川幸雄演出の「蒼白の少年少女たちによるオイディプス王」を観るためです。オイディプス役は小久保寿人さん、クレオン役は川口覚さん、川口さんは以前ハムレットの役でもお目に掛かったことがあります。前回のハムレットの時には「尼寺へ行け」の科白の後に突然振り袖姿のこまどり姉妹が歌い始めるという演出がありました。今回はそこまで過激ではありませんでした。コロスの全員が三味線を弾くという演出なのです。蜷川幸雄さんは予定調和的な世界を壊してやろうと意図しているのでしょうか。コロスの中には文教大学の学生で昨年私のフランス語のクラスに出ていた2年生のH君も加わっていました。H君も三味線を弾きながら大いに頑張っていました。ストーリー展開は謎解きをテンポ良く展開したという印象でしょうか。野村萬斎主演のアテネ公演では謎解きを出し惜しんでいた感じがありました。ともあれオイディプスの世界にすっかり溶け込んだ2時間でした。