卒業証書授与式で次のような話をしようと考えました。

takuzemi2013-03-16

 英米文学科の卒業証書授与式で次のような話をしようと考えました。村上春樹の小説の主人公たちについてある批評家は次のように記しています。彼らは羅針盤も海図も持たないで暗い夜の海を行く船のようだと言うのですね。また主人公たちは敵と戦う立派な武器も持ち合わせていません。身の回りにある有り合わせの道具を武器に変えて使うしかないわけです。例えば『ねじまき鳥クロニクル』の主人公オカダ・トオルは妻のクミコを奪還するために義兄のワタヤ・ノボルと戦います。この時のオカダ・トオルの武器は金属バット一本だけですね。オカダはこのバットを携えて廃屋の庭にある井戸に降りていきます。井戸に降りることは精神を集中させることの隠喩でしょう。GTDを提唱しているアメリカのコンサルタントのデビッド・アレンさんなら「流れる水のような状態」と言うかも知れません。アレンさんは集中している状態を「Zoneに入った」とも言っています。オカダ・トオルが井戸に降りるのと同じようなことですね。卒業生のみなさん。一所懸命、一つことに集中することを4月から続けてみてください。きっと新しい発見があるはずです。最後に「メモを取るのが文教生という伝統を思い出してください。言葉に書き記すことで多くの仕事が片付くのです。私はこの2年間デビッド・アレンさんのGTD(Getting Things Done)の手法を学び続けてきました。「頭の中の気に掛かることを全て一冊のノートに書き出す」ことで頭の中の整理ができるのです。インターネットで「GTD」で検索すれば色々の情報が出てくるはずです。ぜひ、やってみてください。