『星の王子さま』を巡る新作の断片を書き記すためです。

takuzemi2013-03-20

 朝は居間のDELLのデスクトップを起動しました。『星の王子さま』を巡る新作の断片を書き記すためです。例えばパイロットと王子が砂漠で井戸を探すエピソードがあります。ここでは純粋さの主題を象徴する「水」が語られます。
 『星の王子さま』には純粋さの主題が出てくるのです。例えば25章ではパイロットと王子は砂漠の中に井戸を発見します。その井戸の水を汲んでパイロットが王子に飲ませる場面があります。その描写は次のように語られています。「星空の下を歩いてから、滑車を歌わせ、ぼくの両腕をはたらかせて汲みあげた水だった。心にもおいしい贈りものなんだ。」(野崎歓訳『ちいさな王子』光文社古典新訳文庫p.123.)
 また王子が失われた後のパイロットの喪失感については「沈黙の内に無念をかみしめるしかない」と語られます。
 『ちいさな王子』の訳者の野崎歓は解説で次のように記しています。「実際、『ちいさな王子』が最後に用意しているのは、無垢なるものの死に立ち会うという、何とも残酷な試練なのです。クライマックスの第26章、王子のかたわらでついに言葉を失ってしまう語り手の姿に、作品に秘められた恐ろしさが凝縮されています。「ぼくは何もいわずにいた」−−語り手は、四回もそう繰り返しています。沈黙の内に無念をかみしめるしかない、そんな幕切れを彼は、そして読者も、経験するのです。」(野崎歓訳『ちいさな王子』光文社古典新訳文庫p.165.)