Fさんとローデンバックの『死都ブリュージュ』を読みました。

takuzemi2013-06-14

 ドミニック・ローホー著、原秋子訳『「限りなく少なく」豊かに生きる』(講談社)はとても面白い本でした。昨日、帰宅してからも読み続け、何とか読了したものでした。原題はL'infiniment peuと言うものです。フランス語が分かる人間にはちょっとばかりお洒落な言い回しに感じられますね。ローホーさんの名前の原文はLoreauです。普通ならローローとなりそうな所を音に忠実にローホーとしているのですね。この本を今日も再読してみたくなってパックパックに入れました。数々の名文句が見事に本文と絡み合っているのが素晴らしい。昨日の今日で再読してみたくなったのも無理からぬことなのですね。
 9時過ぎにはバックパックを背負って家を出ました。昨日から傘が手放せない天気が続いています。武蔵野線の車中では車窓からの風景を眺めながら茫洋としました。研究室に着いて大きな机の上を片付けておきました。2限のFさんとの読書会を開くスペースがありません。10時40分からはFさんとローデンバックの『死都ブリュージュ』を読みました。ユーグという男が先立たれた亡き妻の面影をブリュージュの街に重ねながらあちらこちらを彷徨うという物語です。実に凝った文章で象徴表現が至る所に散りばめられています。カリヨンやオルガンなどの楽器の音も聴こえてくるような臨場感のある文体です。シェークスピアのオフェーリアのイメージが亡き妻に重ねられるところも凄いですね。