昨日の5限の3年生のゼミではMさんの発表がありました。

takuzemi2013-07-06

 昨日の5限の3年生のゼミではMさんの発表がありました。洒落たタイトルの「探偵を探偵する」と題された発表です。18世紀半ばから19世紀半ばに掛けて活躍したフランソワ・ヴィドックの事例を紹介してくれました。当時は犯罪者が後にパリ警察の密偵になるというケースも少なからずにあったようですね。ヴィドックもそうした例の一つです。バルザックの『ゴリオ爺さん』などに登場するヴォートランやヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』のジャン・ヴァルジャンと敵役のジャヴェールもヴィドックをモデルにしたものだそうです。なかなかに楽しい発表でした。発表の後はマリーズ・ブリュモンの『『星の王子さま』を学ぶ人のために』を輪読しました。「ユマニスト」、「子供の視点」などの重要なキーワードが並びました。
 今朝は朝の6時に起床しました。先ずは鳥越碧著『漱石の妻』(講談社文庫)を読み上げてしまうことにしました。第5章の「別れ」の章から読み始めました。漱石胃潰瘍が悪化していくこと、『道草』で漱石と鏡子の実生活が暴かれてしまったこと、漱石修善寺での大患のこと、漱石の死後に鏡子が『漱石の想い出』を書いて弟子たちに憎まれたことなどが語られます。漱石と妻の鏡子とはどこまで行っても平行線のような夫婦だったのですね。ところが漱石は弟子たちには自分の狂気や顰めっ面の一面を一度も見せたことはないのですね。解説で竹内洋氏が書いているように弟子たちとのホモソーシャルな関係が鏡子さんを「悪妻」に祭り上げたのでしょう。しかし、事実は事実として語っておかねばならないと『漱石の思い出』を語った鏡子さんは本当に強い女性に変身していたのだと思えます。