午後1時からの演劇論では寺山修司に付いて学びました。

 昼休みには725教室までハンドアウトと出席票をセットしに行きました。725教室を出て3号館に戻ったら4年ゼミ生のN君が「つい20分ほど前に内定が決まりました。」と声を掛けてきました。「会社はどんな関係なの?」と聞き返すと「不動産関係です。」と返事が帰って来ました。暑くなる夏休み前に内定が決まったとはN君も何ともラッキーな青年ですね。
 午後1時からの演劇論では寺山修司に付いて学びました。昨年、銀河劇場で観た大竹しのぶ主演の『身毒丸』のパンフレットを教材提示機で見てから、ハンドアウトを細かく読みました。今回の講義では寺山修司のポストモダニストとしての在り方を中心に語りました。コピーと引用のモザイクから成立する演劇空間がキーワードとなるでしょうか。ハンドアウトを読了してから、美輪明宏氏の語る寺山修司の作品に付いて30分ほどのビデオを観ておきました。
 4限の4年生のゼミでは若林幹夫氏の「漱石のリアル」を読みました。『ちくま評論選』に収録されている夏目漱石の『こころ』を分析した論文です。若林氏は「家郷」と「東京」の二つの極を浮き彫りにすることから分析の作業を始めます。「家郷」で叔父に裏切られた先生は家産を金銭に換えてしまいます。この頃から先生の内部にハイデガーの言う「不気味さ」が住み着いてくるのですね。解説に依れば「自分が存在している理由も目的も意味も分からずに、居心地の悪い状態を表す」とあります。自分自身の内奥に食い込んでくる痛みのような状態なのですね。