「未解決のままでもいい」という言葉にも救われたような気持ちになります。

 現在の自分を無限に乗り越えていくことなど不可能だと感じています。一人一人の人間にはそれぞれの限界があるのだと思うのですね。それをドミニック・ローホーさんは『人生で大切なことは雨が教えてくれた』(幻冬舎)の中で「放棄のメタファーとしての雨」という言葉で語っています。同じ本の中にある「今を生きる」とか「未解決のままでもいい」という言葉にも救われたような気持ちになります。ローホーさんの言葉を汲み尽くそうと考えているこの頃ですね。
 朝は武蔵浦和駅発9時44分の武蔵野線で大学への移動を開始しました。新越谷駅VARIEの旭屋書店に立ち寄って原田マハ著『楽園のカンヴァス』(新潮社)を買い求めておきました。この著者の作品に今、夢中になっているところです。全作品を読破してしまいたいと思うぐらいですね。大学に着いてさっそくフランス語1の問題を準備室で受け取っておきました。学生諸君がフランス語の問題と取り組んでいる間に、原田マハさんの本を読んで過ごしました。
 とんきん亭の箱弁当を済ませてから、725教室までハンドアウトと出席票をセットしに移動しました。教育支援課で725教室の鍵を借りて研究室に戻りました。そのうちに3限の始業のチャイムが鳴ってしまいました。今日の授業は漱石の『明暗』を語る予定です。自作のパワーポイントのスライドを見せて『明暗』の粗筋を話してから、ハンドアウトに沿って『明暗』という作品の持つ意味を考えました。最後にDVDの『ユメ十夜』から一篇だけ観て授業をお仕舞いにしました。受講生の諸君には夏休みの間に自分のワンテーマを決めて勉強に取り組むようにと伝えておきました。私も漱石の『文学論』を改めて学び直すことを学生諸君に約束しておきました。