宮崎駿監督作品『風立ちぬ』の原画展を見に行きました。

 家人が友人のSさんの家に遊びに行ってしまいました。独りになって手持ち無沙汰なので、昔のカセットを聴いてみることにしました。ジャック・シャンセルが司会を務める「ラジオスコピー」のシリーズです。先ずは著名な演劇人のジャン・ルイ・バローの話しを30分ほど聴きました。それから劇作家のアラバールの話しを聴きました。アラバールのスペイン語訛りのフランス語が懐かしく思い出されました。「ラジオスコピー」のゲストたちの多くはすでに故人となってしまった人が少なくありません。時が過ぎていくんだなという感慨を感じました。
 午後は所沢の西武百貨店まで宮崎駿監督作品『風立ちぬ』の原画展を見に行きました。武蔵野線で新秋津まで移動してから、西武秋津駅から所沢に出ました。デパート7階の催事場までエレベーターで上がり、500円を支払って会場に入りました。宮崎駿監督が手づから描いた絵コンテや背景が展示されいます。最初の部屋にはポール・ヴァレリーの詩の一節、「風立ちぬ、いざ生きめやも」(Le vent se lève, il faut tenter de vivre. Paul Valéry)が飾られていました。宮崎駿監督の絵コンテにはスタッフに向けた注文やメッセージが細かく書き込まれていてスタジオ・ジブリの連携の良さを思わせました。それから昭和の時代の古き良き風景が背景の絵の中に細かく描き込まれていているのですね。私が子供の頃までは残っていた、しかし今では永遠に失われてしまった風景。それを宮崎駿監督を始めとするスタジオ・ジブリのスタッフたちのお蔭で追体験することができたことが今日の一番の幸せだったのでしょうか。