山口恵以子著『月下上海』(文芸春秋)を読了しました。

takuzemi2013-08-21

 夏休みが始まってから修道僧のような単調な毎日が続いています。朝起きると、食卓を拭き、布団を畳み、地下の貯蔵室までごみを捨てに行き、1階のホールで新聞を取って自室に戻るという段取りです。新聞にゆっくりと目を通してから、A4の紙を横向きに置いて、今日のTODOを書き出すという毎日です。単調な毎日ではありますが、日々の読書の時間はたっぷりと取れるのが夏休みの醍醐味でしょうか。
 朝の起き抜けの時間には雑誌『Cut』の宮崎駿監督のインタビューを読みました。なかなか読みでがあるインタビューです。宮崎監督の「もっと違うまなざしを持った人間」という言葉に感銘を受けました。また「高橋源一郎、『風立ちぬ』を読み解く。」も大変に面白いインタビューでした。とりわけ、若いアニメーターが「ほんものの火を見たことがない」という指摘には驚きました。伝統を継承していくことが、いかに大変なことなのかに付いても大いに反省させられました。
 山口恵以子著『月下上海』(文芸春秋)を読了しました。主人公の女性画家が戦時統制下の日本を離れ、上海に渡ります。主人公の名前は財閥令嬢の八島多江子。上海では四人の男たちと出会うことになります。著者の山口恵以子さんは新聞配達組合の社員食堂に勤務しながら、小説を書き続けてきた経歴の持ち主です。「苦節25年、真っ暗闇を手探りで歩いていたようだった」という言葉が胸に迫ります。