インタビューで作家の西加奈子さんが出てきたのには驚きました。

 午前中はかなりの時間を掛けて論文に赤ペンで修正を加えました。簡単な昼食を済ませてから歯磨きをしました。午後は再び居間のDELLのコンピュータを起動して論文の打ち直しと取り組みました。何とか前半部分を完成させたところへ、3年ゼミ生のU君から電話が掛かってきました。今からでもゼミ旅行に参加できるかという問い合わせです。先日、4年ゼミ生のOさんが就職活動の面接があるとの理由で不参加を表明してきたところです。U君には渡りに舟という感じでOKを出しておきました。
 午後の3時過ぎにはNHKのテレビを見ました。オダサクこと織田作之助の『夫婦善哉』にまつわる物語です。進行役は女優の佐藤江梨子さんです。織田作之助の作品には大阪弁が満載で、グルメ本としての性格もあるとのことです。インタビューで作家の西加奈子さんが出てきたのには驚きました。『ふくわらい』などの作品を読んではいるものの、作家本人のお顔にお目に掛かるのは初めてでしたから。関西大学では文学の授業で『夫婦善哉』がテクストとして利用されているとのこと。若い男女の学生諸君の感想も面白いものでした。戦時下では自由な文章の発表ができなかった事情が語られました。その後で出てきた作家の町田康のインタビューが印象的でした。織田作之助の戦時下の作品には「生きているなと言われているような虚無感」が感じられると言うのですね。天涯孤独、流転、寄る辺のなさ、絆のなさなどのキーワードに連なる状態でしょうか。織田作之助が先立って亡くなった妻の一江の写真と髪の毛を封筒に入れて肌身離さず持ち歩いていたというエピソードには涙しました。それにしても夫婦共に夭折と言えるような年齢でこの世を去って行ったのですね。