二人ともなかなか煮ても焼いても喰えないような性格だったようです。

 4限の4年生のゼミを待つ間は研究室で今日のテクストのお復習いを済ませました。今日のテクストは西谷修氏の「死の再定義」と題された評論です。これまでの死の条件は呼吸と心臓の停止、そして瞳孔の解放だったのですが、新しい脳死の条件は脳の活動停止となったとテクストでは語られていました。人間の臓器が交換可能な部品であるような現在の状況を鋭く捉えた一文だと言えそうです。
 せっかく下調べを念入りに済ませて4限のゼミの教室に移動したのですが、今日は残念ながら全員で5名と集まりが良くありません。仕方がないのでビデオ鑑賞の時間とすることにしました。研究室に戻ってビデオを探したら、以前NHKで放映されたナポレオン3世とオースマン男爵のパリ大改造のビデオが出てきました。長さは70分で調度良い長さです。出演するのは女優の本庄まなみさんと作家の夢枕貘さんのお二人です。
 ナポレオン3世とオースマン男爵の性格がビデオの中で語られます。二人ともなかなか煮ても焼いても喰えないような性格だったようです。この二人が古く懐かしいパリの姿をすっかり変えてしまったのは確かなようです。当時のパリでは水は貴重だったとのことです。そのためパリの市民は風呂に入るのが年間2回が平均だったとのこと。何とも凄まじい不潔な時代だったのです。オースマン男爵はセーヌ河にぶつかった橋を斜めのまま架けようと考えたのでした。オースマン男爵の存命中はその願いは叶わなかったものの、オースマンの遺志を継いだ人物によって、斜めの橋は完成されたということです。