生ビールを飲んで一息付いた時に、ふと我に返ってほっとすることができました。

 午前中のMRIの検査の結果が良かったので安心しました。午後は東京国立博物館 平成館で開催されている「特別展京都 洛中洛外図と障壁画の美」を観るために上野公園へ移動しました。窓口で1500円を支払って、平成館へと移動しました。晴天の日曜日とあって館内は観客が一杯で、作品をゆっくり鑑賞する暇もありません。人の流れに押されて流されていくという美術鑑賞になってしまいました。東京文化会館の2階のHIBIKIで生ビールを飲んで一息付いた時に、ふと我に返ってほっとすることができました。
 日曜日の朝日新聞の読書欄に漫画家の吾妻ひでおさんの『アル中病棟 失踪日記2』(イースト・プレス)が紹介されていました。息子が買い求めたものが居間に置いてあったので読んでみました。緻密な描写が特徴的な作品です。そして、高みから見下ろす俯瞰的な構図も作品中に多用されているようです。作者の吾妻さんが自分自身を対象化して見ているところから来る現象でしょうか。朝日の読書欄でジャーナリストの佐々木俊尚さんは次のように書いています。「本書はまたとないアルコール依存症の教科書であるのと同時に、伝統的な共同体が消失した時代に生きることのつらさという普遍的なテーマを内包した良書である。」とあります。291ページでは一人の医師が「酒の無い生活での心の空洞を何で埋めるのかを考えることです」と語ります。吾妻さんは「俺の場合やっぱ仕事 漫画を描くことだな」と言います。ここには吾妻さんの漫画家としての覚悟が(そして、断酒を続けていく覚悟が)明確に語られていたような気がします。