「夏目漱石研究.txt」を引っ張り出して、新作のデータを加筆しました。

 1限のフランス語は『小さなコント−読解からコミュニケーションへ−』の第11章「パリの市街電車」の前回の続きから入りました。テープを聞いて音読を繰り返してから名簿順に学生諸君にリピートと1行ずつの訳読を試みてもらいました。読解のテクストを読了してから、次のプリントを配布して、半過去、受動態、目的のpourなどの文法項目を学びました。最後に1700年代初頭のベルリンで錬金術師たちが偶然に発見した「ペルシアン・ブルー」の話しを紹介するDVEを観ました。日本の葛飾北斎の「赤富士」などにも、この青い色が使われているということです。
 研究室のノートパソコンを起動してIDとPWを入れました。それからDropboxを開いて「夏目漱石研究.txt」を引っ張り出して、新作のデータを加筆しました。英文学者の高山宏氏が主張している「夏目漱石はエヴリマンを知っていて『虞美人草』の中でもその伝統を応用していた」という事実です。この作品の登場人物たちはそれぞれに寓意(アレゴリー)を付与されています。主人公の藤尾、その恋人の小野、藤尾の義兄の甲野、その従兄弟の宗近などです。例えば小野の恩師の孤堂はひっそりと立つ孤独な建物と言ったところでしょうか。ここにも寓意が存在することは明らかです。確かに高山氏が主張するように漱石の『虞美人草』の中には強烈なアレゴリーが書き込まれていることが事実のようです。
 3年ゼミの輪読のテクストの下調べを済ませました。今日は斎藤美奈子さんの「アニメのヒロイン像」を読む予定です。斎藤さんはヒーローが戦わなければならないという呪縛から解放されていくプロセスは、アニメの国の少年たちがものを考えるようになっていく過程だと考えているようです。我々の目を覆って、ものを見えなくさせる障害物に「否!」を叫ぶということがこのテクストの本質のようです。