「アウラ」という言葉があります。ラテン語で「霊気」を意味する言葉です。

takuzemi2013-11-30

 昨日の5限の3年生のゼミでは『ちくま評論選』に収められた北田暁裕(きただあきひろ)氏の「見えない多文化都市」を読みました。「東京都江戸川区に住むインド人が千人を越え、独自のコミュニケーション・ネットワークを作っているのだという。」と北田氏は書き始めています。しかし、「かれらがいわゆる「インド人街」を作りだしているわけではない」と著者は続けます。つまり、彼らが「ヴァーチャルなエスニック・タウンを形成」していると著者は考えているらしいのですね。「アウラ」という言葉があります。ラテン語で「霊気」を意味する言葉です。このテクストの文脈では「人々を惹きつける独特の雰囲気」が有ることが分かります。新大久保の韓国人街や横浜の中華街に行ってみると「人々を惹きつける独特の雰囲気が有ることが分かります。ところが、江戸川区のインド人街にはそうした霊気が全く無いと著者は言うのですね。ヴォーチャルな「脱アウラ化」されたエスニック・タウンが形成されたと言うのが北田氏の結論でした。輪読は1時間ほどで切り上げて、カンディンスキーの絵画を紹介するDVDを観てもらいました。あちらこちらの教室で使い回しをして何度も観ているのですが、いやあ「抽象画の貴公子と」呼ばれているカンディンスキーの画の色彩は素晴らしいですね。「教会のあるムルナウ風景」や「ムルナウの鉄道」などを観ると色彩のきらめきに嘆息がでてきてしまいます。若いころにカンディンスキークロード・モネの「積みわら」の絵を見て画家を志したという話しも有名なエピソードです。