1月3日付けの朝日新聞の紙面にはまだまだ興味深い記事がありました。

takuzemi2014-01-03

 朝の起き抜けの時間には、1階のホールまで新聞を取りに行きました。昨日が新聞休刊日だったので、欲求不満が溜まっています。二日ぶりに読む「天声人語」は大変に面白いものでした。漢字学の大家・白川静さんが週刊誌の「私のごひいき」を三つ挙げるという趣向の欄で、「狂」「擬」「愚」の三つを選んだというエピソードを伝えています。マイナスのイメージを持つ三つの文字を「逆転の発想」とでも言うのでしょうか、「人間の至境」を示すものとして位置づけるのですね。アクロバティックな思考の運動に楽しくなってしまいました。
 1月3日付けの朝日新聞の紙面にはまだまだ興味深い記事がありました。「女人国 男は夜走る」という記事です。中国大陸内陸の湖の周辺に住む少数民族のモースオ人の社会の話です。この集落では「女性が家長となり、一族の財産を管理する。それは祖母から母、母から娘へと受け継がれてゆく。一方、男性は愛する人ができても家庭を持たない。夜ごと女性の部屋を訪れ、朝が来る前に帰る。いわゆる「妻問い婚」で、現地では「走婚(ツォウフン)」と呼ばれる」と言うのですね。ここまで読んできたら私の大先輩の遠藤織枝先生が紙面に出てきて驚きました。遠藤先生には『モースオ族の母系社会』という著書があるそうで、この少数民族に付いて「重視するのは誰もが生家で一生を過ごすという点だと言っています。そして先生は「嫁姑の確執もなければ、財産分与のもめ事もない。平和を好み、柔軟なモースオ人に合ったのでは」と感想を述べています。けれども、最近では携帯電話の普及のため、昔ながらの習慣は大きく様変わりしているようです。メールのやり取りで男女が密会できるようになったのですね。記事の最後には「ああ、失われゆく文化のかなしかりけり、か」との言葉が記されていました。