手袋をせずに沼まで来てしまったことを後悔してしまいました。本当に寒い朝でした。

 大学時代の友人たちとメール連句を楽しんでいます。困ったことにたちまち私の番がやって来てしまいました。前句の南船兄が「宴の庭の鞦韆(ふうここ)揺らす」と付けてくれたので、何か可憐で愛おしいものが揺れているさまを描かなければなりません。宗匠の南船兄から私は春の季語で行けとの指令が来ているので「母子草」を思い描いてみました。まだ簡単には出来上がりそうもないので、ひとまずは別所沼まで散歩に出掛けることにしました。頭を空っぽにして歩いているうちに「日だまりに静まりてあり母子草」という一句が浮かびました。今日の別所沼はランニングやウォーキングを楽しむ人もまばらで、メタセコイアの木々も何とも寒々とした感じでした。革ジャンにマフラーを巻いて防寒対策は取ってきたつもりですが、手袋をせずに沼まで来てしまったことを後悔してしまいました。本当に寒い朝でした。
 昼食を済ませてから午後の快速で上野を目指しました。国立西洋美術館のチケット売場で住民台帳カードを見せると無料で入館することができます。それに味をしめてしまったのでしょうか。今日もミレーの「春(ダフニスとクロエ」やルノワールの「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」などの定番の傑作を先ずは鑑賞しました。ムンクの版画展も改めて見直してみました。ムンクが精神的な危機に陥っていた時に、アルファとオメガという一対の夫婦の物語を考え出し、その夫婦の版画を生み出すことで、ムンクは危機から脱出できたということです。一連のアルファとオメガの物語はそこはかとないユーモアやペーソスが感じられる、今までその点に気付かなかった私の鑑賞眼を反省させられることになりました。