「生きて、生きて、生きぬくんや!」というメッセージが聴こえてくるようです。

takuzemi2014-01-19

 原田マハさんの『翔ぶ少女』(ポプラ社)を読了しました。腰巻きからこの本の内容を引用してみましょう。「1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った小学一年生の丹華(ニケ)は、兄の逸(イッキ)、妹の燦空(サンク)とともに、医師のゼロ先生こと左元良是朗に助けられた。復興へと歩む町で、少しずつ絆を育んでいく四人を待ち受けていたのは、思いがけない出来事だった。」と言うのですね。登場人物たちの会話が生き生きとした関西弁で交わされていて大変楽しいものになっていました。原田さんの奥付の経歴を見ると関西学院を卒業なさっています。学生時代に関西弁に詳しくなったのでしょうか。この本の良さは主人公の丹華の真摯さですね。「生きて、生きて、生きぬくんや!」というメッセージが聴こえてくるようです。原田マハさんの傑作の一つに加えられる一冊だと思います。
 もう一冊はコミックなのですが今日の朝日新聞の書評欄で紹介されていました。高橋しんさんの『あの商店街の、本屋の、小さな奥さん』(白泉社)です。息子の本棚から拝借して読んでみました。こちらも小さな奥さんの真摯さがテーマになっているようです。見合い結婚をして、一週間で夫に先立たれた奥さんが一人で一人で古書店を切り盛りする話です。小さな奥さんは画面でも可愛らしくて、こんな古本屋があったら良いだろうなと思ってしまいます。小さな奥さんが本当に本が好きなことが読者にストレートに伝わってくるようです。同じ著者の『雪にツバサ』を駅前の須原屋書店まで探しに行ったのですが、出たばかりの8巻があるばかりで、バックナンバーは見当たりませんでした。代わりに矢作直也著『おいしく治す「糖尿病食』(講談社新書)を買って帰りました。