アイデアをB4の紙にマインド・マップを作って書き出してみました。

takuzemi2014-02-03

 朝の起き抜けの時間にはT先生、N先生そして私の3人で共同研究をしている「日本の文学者に与えた西欧の影響」に付いてのアイデアを少々まとめてみました。共同研究では夏目漱石の『明暗』に付いて書くと決め、そのためのアイデアをB4の紙にマインド・マップを作って書き出してみました。例えば『明暗』にはドストエフスキーに付いての言及があります。確か主人公の津田由雄の旧友小林の発言に出てきた言葉だったと思います。ここから『明暗』という作品が多声的空間、いわゆるポリフォニックな世界を形作っていることが容易に引き出せると思います。小林の友人の貧乏画家が「三角主義」というキュービスムを思わせる絵画技法を口にします。こんな所からも夏目漱石の情報感度が非常に高いものだったことが感じられると思います。また漱石のテクストには遊戯性も色濃く現れているようです。例えば津田が叔父の家に訪れた時、津田の甥の真事が「Je suis poli.」とか「Tu es malade.」とかフランス語のテクストを読み上げているのですね。ここには津田由雄に向かって真事が語るメッセージが秘められていると解釈しても良いでしょう。また小説の冒頭で出てくるポアンカレーの偶然性説は何事も確定していないというポストモダン的なオープンエンドの結末を導く伏線なのではないでしょうか? 熊倉千之先生の読みには反するのですが。そんなことを考えていたら論文執筆という一つの山も怖くなくなりました。午後には時間があるので、このマインド・マップをテクスト化しておくつもりです。Wzエディターの形式で少しずつデータを蓄積していけば良い論文が書けるだろうと思っているところです。