演劇論では荒木正純氏の書いた「魔法使いの跳梁跋扈」をテーマにして授業を進めました。

 3限の演劇論では荒木正純氏の書いた「魔法使いの跳梁跋扈」をテーマにして授業を進めました。エリザベス一世やジェームズ一世が在位していた頃の時代の話です。宇宙は「神」「天使」「惑星」「自然界」の四つの領域が連鎖してしていると考えられていたそうです。人間は「自然界」で霊を有する特権的存在で「大宇宙」に呼応する「小宇宙」とされていたと言うのですね。魔術師のジョン・ディやファウスト博士が出没する中世の世界です。最後にシェークスピアの『真夏の夜の夢』を30分ほど観て授業を終えました。
 空き時間を見つけて図書館に移動しました。査読の済んだ論文と漱石の『吾輩は猫である』のビデオの領収書を届けておきました。4限の4年生のゼミでは北田暁大氏の「みえない多文化都市」を輪読しました。江戸川区に住んでいるインド人たちを例に取ってインターネットや携帯電話が、独自なコミュニケーションを生んでいると指摘しているのですね。また「アウラ」という言葉が有ります。本来は「霊気」と言う意味なのですが、ここでは都市や街などが人々を引き付ける独特の雰囲気を示すものとして使われています。70年代の渋谷が歴史的文脈と切り離されたヨーロッパ的な雰囲気を持つことで、舞台性と独特のアウラを手中にしたとの説明に妙に納得したものです。残り時間ではカンディンスキーのDVDを観ました。「馬に乗る二人」「モスクワの貴婦人」「教会のなるムルナウ風景」「ムルナウの鉄道」「印象3−コンサート」などの名画を楽しみました。色彩豊かな大型スクリーンに映し出される映像にウットリしたものでした。