朝の起き抜けの時間には何とか漱石論を書こうとして四苦八苦しました。

takuzemi2014-05-24

 今朝の「しつもん!ドラえもん」の問題は「家に薬箱を置いていく「売薬さん」は富山が発祥。おまけとして配った紙のおもちゃは?」とあるのですが、私にはすぐ分りましたね。答えは「紙風船」です。なぜ分ったのかと言うと、私が小学生のころ、紙風船で遊んでいて箪笥の角にしたたかに頬をぶつけて、ひどく痛い思いをしたことが有ったからです。それから富山の薬売りがやって来るのも楽しく待ち遠しい思いがしたものです。「売薬さん」は異界からの来訪者だとでも子供心に思っていたのでしょうか。
 朝の起き抜けの時間には何とか漱石論を書こうとして四苦八苦しました。それでも言語学者佐藤信夫氏の『レトリック感覚』(講談社)を援用することで何とかA4一ページの論文を仕上げることができました。佐藤氏は『吾輩は猫である』と『倫敦塔』と『草枕』の三作の冒頭の一句を並べて次のように言っているのですね。「誰でも知っているこれらの文をあらためて観察してみると、私たちは、三つの例文がどれもみな、きわめて意図的に組み立てられていることに気づく。いずれも、数学の教科書や交通法規のような一色で均等に塗られた無地の文章ではなく、地の上に目立つ柄や模様がある。文章がのっぺりした平面でなく、その表面を指でなでてみると、ところどころ、凹凸や起伏の感触があるようだ。」(『レトリック感覚』pp.6-7)と述べているのですが、私は「のっぺりした」というオノマトペや「その表面を指でなでてみると」と言う身体感覚を表す表現に常人と異なる言語学者佐藤信夫氏の言語感覚と身体感覚の鋭さに脱帽しました。偉い学者もいるものだと本気で思ったことでした。