昨日は長谷工の作業の方々が窓ガラスに張られたビニールシートを取り除いてくれました。

takuzemi2014-05-25

 昨日は長谷工の作業の方々が窓ガラスに張られたビニールシートを取り除いてくれました。およそ二週間振りにもなるでしょうか。窓を大きく開け放って、外の風を閉鎖されていた室内に入れるのは。その時、家人はいつもの水泳に出掛けていて、私は家人の留守をいいことにビールを頂いていたのでした。二週間振りに風が入って居間は気持ちよかったですね。何とも居心地の良い時間を過ごしたものでした。
 朝の起き抜けの時間はいつものごみ捨ての作業を片付けました。それからホールで新聞を取って自室に戻りました。日曜の朝日新聞は書評欄が充実しています。それをゆっくりと目を通してから、欲しい本をチェックしておきました。書評欄を読むことは私の趣味でも有り楽しみでもあるのです。
 8時20分から9時10分に掛けて夏目漱石に付いての論文を書きました。およそ50分ほどで論文を書き上げたことになります。テーマは夏目漱石の作品にオープンエンディングの作品が多いこと。それは読者に判断を委ねること、正解がいくつもあること、伏線をあえて回収しないこと、読者それぞれが自由に解釈することができる終わり方のことなどを意味します。夏目漱石が自ら所有する著者としての権威(authrity)を放棄して、読者自身に判断を委ねたと言うことは、漱石ポストモダンの時代の到来を明治の時代から予見していたと言うことで、漱石はいち早くポストモダンの状況を生きていたと言うことができるでしょう。夏目漱石の作品にオープンエンディングの作品が数多く有るのは、ここに理由が有ると考えているところです。

*午後は東京ステーションギャラリーで開催されている「ジャン・フォートリオ展」を鑑賞しました。
 いつものように朝の9時からは「日曜美術館 エロスか芸術家?少女を描いたバルテュス▽5つのアトリエが語る真実の姿」を観ました。およそ1カ月前に観たバルテュス展です。まだバルテュスの絵画の残像が私の両目の奥に残っているので「美しい日々」「夢見るテレーズ」「鏡の中のアリス」などの名画を反芻して楽しんだものでした。
 家人は9時過ぎにクラス会に出掛けていきました。熱心な企画立案者がいるらしく家人はしょっちゅうクラス会に出掛けていきます。その間、私は自由時間が楽しめる訳なのですが、いささか手持ち無沙汰で困ってしまうことも有ります。やはり自発性と言うか自分から進んで何事かに取り組む心意気が大切なのでしょうね。
 午後は東京ステーションギャラリーで開催されている「ジャン・フォートリオ展」を鑑賞しました。日本で初めての回顧展だと言うことです。三階の展示室で観た初期作品は全て具象画で、「羊の頭部」は血塗られた羊の頭が至近距離に置かれていて、ぎょっとさせられました。「兎の皮」も吊るされた兎を描いているもので、死をテーマにしているのだと思わせられました。「鯉」は皿に乗せられた鯉が描かれていて、やはり死を思わせる主題だと感じました。「タバコの男(マルセル・カステルの肖像)」は文字通り短いタバコを銜えた男がこちらを睨み付けている、どことなく精悍さを感じさせる肖像でした。フォートリエはフランスの著名な文学者のジュルジュ・バタイユジャン・ポーラン、フランシス・ポンジュたちと親交が有ったとのこと。三階から二階に降りると雰囲気ががらりと変わりました。こちらは抽象画が多く「林檎」「三つの梨」「果物」と静物画が続くのですが強烈な強度を感じさせる逸品でした。連作「人質」はドイツ軍によって俘虜となったレジスタンスたちを題材にしたもので、「人質」の連作は圧倒的な迫力で戦争という人類の愚行を糾弾するものと言えそうです。