「雑草」という名前の植物がないように「石ころ」という名前の岩石もありません。」

 午後は13時41分の快速新木場行きで移動を開始しました。車中では幸いシルバーシートに座席を確保できたので、持ってきた少年探偵団シリーズの一冊『黄金豹』(ポプラ社)を読みました。上野の改札口の公園口を出て、真っ直ぐ国立科学博物館に向かいました。先ずは常設展を観ました。動物たちの剥製が数多く並んでいます。ノウサギやテンの冬毛と夏毛のものが有り夏と冬ではこうも違うのかといささか驚かされました。また剥製の鳥たちがこれほどまでに美しいのかと驚いたことでした。掲示には「「雑草」という名前の植物がないように「石ころ」という名前の岩石もありません。」と書かれていて妄を啓かれたような気分がしたものです。「石ころ」の掲示には「何万年、何億年もかけて形成されてきた「石ころ」にも、さまざまな名前があることを、この企画展で知ってもらえればと思います。」と有って遠い時代の時の流れに思いを馳せた私が確かに存在しました。国立西洋美術館の常設展も再訪しました。ピエール=オーギュスト・ルノワールの「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」や「帽子の女」などの慣れ親しんだ絵画に再会するとほっとした気分になることができます。またカミーユピサロの「立ち話」も人を安心させる鎮痛剤のような効果を持っていることを初めて知ったものでした。ジョルジュ・ルオーの「エバイ(びっくりした顔」と「リュリュ(道化の顔)」の二点を楽しんで国立西洋美術館の常設展を後にしました。ラウル・デュフィの「モーツァルト」が有るのが初めて気が付いた愚かな私でした。