太田記念美術館で「江戸妖怪大図鑑」を観賞しました。

 早めの昼食を済ませて午後は12時21分発の快速新木場行きに乗りました。車中ではいつものように太田紫織さんの『櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘』(角川文庫)を読みました。池袋で乗り換えて原宿で下車しました。表参道に歩み入ると若者たちでごった返しています。それも太田記念美術館に着くまでの我慢です。900円のチケットを買って館内に入りました。歌川国芳の浮世絵が有りました。立姿の役者の背景に巨大な化け猫と手拭いを巻いて踊る猫たちが印象的な逸品でした。歌川国芳の「讃岐院眷属として為朝をすくふ図」はリアルな描写が際立つ逸品でした。歌川国芳の「源頼光土蜘蛛妖怪図「は長い間病にうなされていたある夜、一人の僧がどこからともなく現れ、縄で頼光をからめ捕ろうとした。これに驚いた頼光は枕元に置いてあった刀で切りつける。血の跡を追いかけると四尺ばかりの土蜘蛛に遭遇し、それを見事に退治した。歌川芳藤の「王捨三次内猫之怪」はよく見てみると9匹の猫が集まって形をなしている。物を寄せ集めて別の形を作る「寄せ絵」や「はめ絵」という技法であり目は猫の首に付ける鈴、下は首に巻く赤い紐になっている。こんなところに芳藤のセンスの良さがうかがうことができる。月岡芳白の「平維茂戸隠山鬼女退治之図」は女は美しい女性に化けたままの姿だが、水面にはその怖ろしい正体がはっきり映っている。美女と鬼の美醜のコントラストに感心したものだった。桑名徳蔵という船乗りがいた。沖で巨大な海坊主に遭遇する。徳蔵が世の中で生きていく方がよほど怖いと答えると海坊主は恐れをなして消え失せたとのこと。久し振りに息抜きができた一時間半でした。