快晴の空が広がっていて、湿度も低く気分が良い一日となりました。

takuzemi2014-07-29

 ゆっくりと家を出て別所沼まで散歩に出掛けました。快晴の空が広がっていて、湿度も低く気分が良い一日となりました。散歩道は通勤客ばかりだったのですが、別所沼に着いてみるとランニングやウォーキングを楽しむ人々を沢山見掛けました。いつものように埼玉県原爆死没者慰霊に向かって合掌しました。それから神保光太郎の詩碑の文字を念入りに読みました。和服を着た若い男が扇子を手に顔を扇ぎながら通りすぎていきました。ダンディズムを気取っているのでしょうか。私のマンションに住む「ノッポさん」が長い網を使ってメタセコイアの葉をすくい上げていました。不思議な人物です。数日前に私のブログで部分的に紹介した立原道造のエッセイですが、全文を掲載する価値が有ると思うので以下に引用しておきましょう。
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草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」から 〔一九三八年秋頃執筆〕
 僕は、窓がひとつ欲しい。
 あまり大きくてはいけない。そして外には鎧戸、内にレースのカーテンを持っていなくてはいけない、ガラスは美しい磨きで外の景色がすこしでも歪んではいけない。窓台は大きい方がいいだらう。窓台の上には花などを飾る、花は何でもいい、リンダウやナデシコやアザミなど紫の花ならばなほいい。
 そしてその窓は大きな湖水にひらいている。湖水のほとりにはポプラがある。お腹の赤い白いボオトには少年少女がのつてゐる。湖の水の色は、頭の上の空の色よりすこし青の強い色だ、そして雲は白いやはらかな鞠のやうな雲がながれてゐる、その雲ははつきりした輪廓がいくらか空の青に溶けこんでゐる。
 僕は室内にゐて、栗の木でつくつた凭れの高い椅子に座つてうつらうつらと睡つてゐる。
タぐれが来るまで、夜が来るまで、一日、なにもしないで。
 僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。……