川越市立美術館を訪問して「川瀬巴水展 郷愁の日本風景」を観賞しました。

 川越市立美術館を訪問して「川瀬巴水展 郷愁の日本風景」を観賞しました。「初秋の浦安」は夕景に雲が赤く輝いています。湖に浮かぶのは一杯の帆船で見ていると孤独感が極まる思いがしました。「大宮見沼川」は暗い中に小さな灯が見えます。蛍なのでしょうか。何だか見当も付きません。見沼川らしき流れがかすかに見えています。けれどもこの版画は全てが幽玄の中に有るように感じられました。暗い色調の版画が多いと感じました。だが、その色調が強烈な郷愁を醸しているとも感じました。川瀬巴水の雲の描き方が独特なのに気付きました。沸き上がる雲を見事に定着しています。ランボーの一句「俺は眩暈を定着した」という言葉を思い出したものでした。常設展では須田孝の「道野辺」が有りました。これはエジプトのカイロに取材した作品で、箱のような建物、並んだ壺、黒い影などにエジプトの印象が伺えるとのことでした。斉藤研の「旅」は同じよう建物が並んでいる風景で、その反復が奇妙なリズムを産み出していました。大國章夫の「エトルタの風」は断崖絶壁のエトルタの岩に荒々しい波が打ち寄せている風景で、自然の猛威を感じたものでした。大國章夫の「ルーアンの家」は前出の作品とはがらりと色調が変わり、穏やかな気分にさせてくれる逸品でした。「絵の中を旅する」と言うキーワードが有り、私も絵画展では常にそのことを求めているのだと感じさせられたものでした。相原求一朗の展示室が有り、のっけから「赤間川」と題された作品が有り懐かしい思いがしました。狭山にも「赤間川」が流れていて幼い頃には川遊びを楽しんだものでした。