ベアトリス・アッピアの『ひなぎくのおはなし』を書斎で読みました。

takuzemi2014-08-25

 朝の起き抜けに小説のメッセージに付いて考えてみました。小説の中には作者が読者に伝えたかったメッセージが一つあるいは複数書き込まれている筈です。それをいつも読者は必ずしも正確に読み取ってくれるとは限りません。結末が多義的で読者の一元的な読解を阻む場合も有るでしょう。時には作者は一義的な結末を付けることを放棄してしまうこともあります。この場合には作品はいわゆるオープンエンディングの結末を持つことになります。可能な結末を夢想する権利が読者に丸投げされてしまうわけです。それでも私は「作品は作者から独立したもの」という構造主義的批評の立場には立ちません。『方法序説』はデカルトのメッセージが書き込まれた作品です。『パンセ』はパスカルのメッセージが書き込まれた作品です。それと同様に『こころ』には夏目漱石のメッセージが書き込まれた作品だと素直に受け取ることが一番だと考えるからです。
 ベアトリス・アッピアの『ひなぎくのおはなし』を書斎で読みました。花盛りの草原で物語は始まります。ひなぎくは二枚の葉っぱを食べた小さな羊さんはどうなったのかを私は知りたいの。ひなぎくは誰も見ずに歩き始めます。鳥たちや花々は「ひなぎくさんは、頭が可笑しいよ!」と叫びます。けれどもひなぎくは彼らの話しを聞かないのです。雪があらゆる花々や全ての植物を覆ってしまうという結末で悲しい終わり方だと思ったことでした。