午後はホテルのバスを利用して、諸橋近代美術館を訪問しました。

 午後はホテルのバスを利用して、諸橋近代美術館を訪問しました。ダリの彫刻が有るので有名な美術館です。大学時代の友人たちと一緒に来たことは有るのですが、今日は家人と一緒なので大分印象が異なります。まず展示室に入るとダリの「ニュートンに捧ぐ」が有ります。顔もお腹も大きな穴が空いている像でダリがニュートンを好きではなかったと思わせます。ダンテの『神曲』に出てくるベアトリーチェには好意的に彫刻されていると思いました。ダリの「白鳥=象」が有り正立像は象なのですが引っ繰り返すと白鳥になるらしく、ダリの遊び心を楽しく感じたものでした。ギョーマンの「アゲイ湾」は岩に荒々しい波が打ち寄せる風景で遠景に岬が見えます。サルバトーレ・ダリの「パンとクルミ」は縦長の壷に木の匙が入っていて、パンとクルミが有る画面ですっきりとした印象を与えてくれました。ルイ・ヴァルダの「肘掛け椅子に座る若い女」は緑色のゆったりしたドレスに包まれた若い女が微笑みながら安楽椅子に座っています。笑顔と赤い頬が印象的でした。マルク・シャガールの「黄色と赤の花束」は花束が主人公では有りません。中心に居る二人の恋人たちが主人公なのです。花束は二人を引き立てるための道具立てだと私には思われました。ダリの「回顧的女性胸像」には額や唇にお馴染みの蟻が無数に描かれています。ダリの「引き出しのあるビーナス」はフロイトの『夢分析』に影響を受けたものらしく、引き出しは無意識の存在を象徴しているのでしょう。ダリの言葉にこんな言葉が有ります。「気が狂ったと思われることをしないと駄目だからね。」と有ります。狂気が芸術を助けるという発想は夏目漱石も同じようなことを語っていたと思いました。(写真はマルク・シャガールの「黄色と赤の花束」です。)