雨降りなので退屈してジャン・グルニエの『孤島』(竹内書店)を読み直しました。

 埼玉県立近代美術館が2014年9月1日から2015年4月10日までの予定で改修工事のため休館だとの知らせがネット上で展開しています。困りましたね。私はこの美術館の常設展を観賞して楽しむのが常だったからです。チケットも200円という低価格で納得が行くものだったからです。
 秋学期の「ヨーロッパの文学」の下調べをしました。手持ちのデータにはカミュの『異邦人』、サルトルの『嘔吐』やロブ=グリエの『作家生活への序文』などが有り、昔のことになってしまいましたが、ネット上のフランス文化放送で聴いてDVDに録音して、フィラーノートにいつての下書きを作って講義録を作ったことを思い出します。他にはサン・テグジュペリの「『星の王子さま』を巡る考察」や服飾関係ではシャルル・フレデリック・ウォルトやココ・シャネルのデータが有ります。
 雨降りなので退屈してジャン・グルニエの『孤島』(竹内書店)を読み直しました。所々に私自身が書き込んだ原文が書いてあります。アルベール・カミュの序文が付いていて「動物は享楽し、そして死ぬ。人間は驚嘆し、そして死ぬが、一体どこに港があるのか?」と有り、最後の一行の「一体どこに港があるのか?」には衝撃を受けた記憶が有ります。訳者の井上究一郎先生の退官記念の講演も聴いた記憶が有ります。先生は真っ赤なネクタイを締めてとてもダンディーだったことを思い出します。『孤島』に戻ると「空白の魔力」の中にこんな言葉が有ります。「何歳のころだったか? 六歳か七歳だったと思う。菩提樹のかげにねそべり、ほとんど星一つない空をながめていた。私は、その空がゆれて、空白のなかにのみこまれるのを見た。それは虚無に私の最初の印象だった。」この部分を初めて読んだ時は大きな衝撃を感じたものでした。