106年振りに夏目漱石の『三四郎』が朝日新聞紙上に連載されています。

takuzemi2014-10-02

 昨日から10月となり、衣替えの朝となりました。昨日から106年振りに夏目漱石の『三四郎』が朝日新聞紙上に連載されています。さっそく精読して家人が作ってくれたファイルに記事を切り抜いてファイリングしておきました。私の文学のハンドアウトには千種キムラ・スティーブンさんの『『三四郎』の世界を(漱石を読む)』からの抜き書きを利用したハンドアウトで、主人公である小川三四郎の視点とそれを脱構築する別な視点の存在を指摘するスリリングな論考で学生にも評判が良いハンドアウトです。もう一つのハンドアウト藤井淑禎編『日本文学研究論文集成26 夏目漱石1』(若草書房)所収の「『三四郎』論−「独身者」共同体と「読書」のテクノロジー−」と題されたもので「書斎」と言う場を巡る様々の思考が張り巡らされています。「書斎」と言う場は「読む」主体として規範される男性性が極印される場所と定義されています。また「女」は読解対象としての「性」(書物=意味発生者)として非対称的にジェンダー構成されていき、石原千秋に寄れば美禰子と言う性は「都市を浮遊するシニフィアン」として規定されてしまうのです。
 昨日は14時40分から会議室4で外国語教育委員会が有りました。その時に私が宮部みゆきさんの『荒神』(朝日新聞出版)を持っているのを見掛けた同僚のO先生が小さな声で同じ著者の『小暮写真館』(講談社文庫)も面白いと声を掛けてくれたのです。新越谷の旭屋書店で買い求めて二冊とも「山本蔵書」の印鑑を押しておきました。今日は「ヨーロッパの文学」ではパスカルの『パンセ』に付いて語る予定です。