午後はパナソニック汐留ミュージアムで「ジョルジュ・デ・キリコ 変遷と回帰」を観賞して来ました。

 午後はパナソニック汐留ミュージアムで「ジョルジュ・デ・キリコ 変遷と回帰」を観賞して来ました。デ・キリコの作品は現実と非現実の境を行き来し観るものの不安や困惑を誘う一方で、その芸術に隠された大きな謎のゆえに私たちを惹きつけて止みません。「ポール・ギヨームの肖像」が有り、デ・キリコの最初の画商であり、モジニアーヌやマティスらを発掘した人物で詩人のアポリネールとも親交が有ったと言われています。「自画像」は疲れた感じの表情で大きな手を机の上に置いています。灰色の服も草臥れた感じがしました。「林檎と葡萄のある静物」は布の上に林檎が四個、葡萄が二房有るだけで素っ気ない絵画で逆にデ・キリコの描写の才能を際立たせるものだと思いました。デ・キリコは馬が生命の象徴だと考えていたらしいのですね。「海辺の二頭の馬」や「馬と縞馬」、「エーゲ海の古代の馬、浸入者」は明るい空の下で下で生命力を感じたものでした。「水浴する女」は赤い布の腰を下ろした女が後ろ向きに裸身を晒している。向こうには木立ちと山が見え彼女の乳房の膨らみが垣間見える奥ゆかしい感じの作品でした。「ヒッポカンポス」は大海原を泳いでいる神話時代の馬で、生命力の横溢を良く現していると思いました。ルオー・ギャラリーでは「秋」、「飾りの花」、「大海原に向かって」、「渇きと恐れの国では」、「孤独なキリスト」などを楽しみました。ジュルジュ・デ・キリコは「神は死んだ」と言うニーチェの言葉を影響を受けていたらしいのですね。人を不安にさせる絵画が多かったのもその裏付けになるでしょう。今日のデ・キリコ展では若い人が多かったのが印象に残りました。(写真はデ・キリコの「林檎と葡萄のある静物」です。)