午後は竹橋の東京都近代美術館で「菱田春草展」を観ました。

 午後は竹橋の東京都近代美術館で「菱田春草展」を観ました。「朦朧体」は空気や光線を描こうとしたものらしく、まったく新しい表現に挑戦したものだと言うことです。「寒林」は大きな屏風絵で朦朧とした林の中に大きな岩や猿が居ます。まさしく朦朧体だと思ったものでした。「武蔵野」は茫洋とした野原に鳥が一羽枝の上に乗っている。遠くに富士山が見えるので武蔵の国に居ることが分かります。「伏姫」は「南総里見八犬伝」を常磐津にアレンジしたもの。見れば不思議や映像は正しく犬の姿を捉えたものだと言われています。「寡婦と孤児」は孤児が寡婦の腕の中に抱かれている。そして孤児は眠っている。傍らには鎧が有り夫が死んだことを表しているのでしょう。「月下狐」は彼方に満月が見える中に薄の中に二匹の狐が居る。二匹の狐が居る淋しそうな表情に打たれたものでした。「牡丹双鳩(温麗)」は二匹の鳩が花の前で寛いでいる。好感の持てる絵でした。「王昭君」は独特の夢想的な雰囲気をを醸しています。量感表現や暈しの表現が滑らかな質感を生み出していました。「白牡丹」は白い牡丹の上に小さな蠅が二匹居ます。引き立て役だろうと思ったものでした。横山大観の「寒山」と菱田春草の「疲得」が並べて展示して有りいずれも才能が有るものだと思ったことでした。「月下波」は岩の有る海の中で波が岩に砕け散っている。空にはカモメの群れが飛んでいて月も見える、爽やかな絵でした。「賢首菩薩」は左に犬の像が有り賢首菩薩が高い台の上に寛いでいる。坊主を美しく描く才能が菱田春草には有ったのだろうと思ったものでした。MOMAT美術館展も観賞しました。「春日」は白い猫が描かれていて花の下で眠っている。「椿に猫」が続きどうやら菱田春草は猫好きだったことが思われました。「黒き猫」は柿の枝の間に黒い猫が居ます。柿の黄色と猫の黒さが強烈なコントラストを醸していました。