午後は西高島平の板橋区立美術館で「イエラ・マリ展−字のない絵本の世界−」を観賞して来ました。

 午後は西高島平の板橋区立美術館で「イエラ・マリ展−字のない絵本の世界−」を観賞して来ました。有って字のない絵本の世界と二つの『りんごとちょう』の展示が有り、イエラ・マリとエンツォと共に初めて出会った『りんごとちょう』は、りんごと蝶の成長を描いた字のない絵本だが、この本には二つのヴァージョンが有るそうです。ポンピアーニ版とエンメ版が有るのですね。『りんごとちょう』の原画も有りコントラストの強い黒いりんごや虫たちが戯れていました。『たべちゃうぞ』の原画では一匹のキツネがもう一匹の尻尾狙っている画面も有り、笑いを誘われました。虎が尻尾を狙っている画面も有り反復が特徴のようだと思ったことでした。第二章は「時をあらわす」と題されていて「木のうた」のシリーズが有りました。緑の木が郊外に立っている風景です。グラデーションを変えて濃い緑や白い幹も有りました。シルエットのような木立ちも有りコントラストの妙に打たれました。また木立ちに雉子が描き込んであるものも有って、生命の謳歌を感じたことでした。雀たちが群れを作って飛び立っていく場面も有りました。「まるい、まあるい」の原画も有りまるいものを集めた絵本で太陽、月から始まり球体のもの、皿状のもの、円環状のものへと変わっていくコミカルな表現に共感したものでした。往復の車中では上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』(新潮文庫)と大学時代からの友人の岩佐倫太郎君の『印象派琳派がわかれば絵画が分かる』(舵社)を読みました。前者は幼い小夜を主人公とする物語で呪者に使い魔にされた霊狐の野火が絡む話しです。後者は美のスタンダードを自分の内部に打ち立てようという誘いを求めるもので美術館巡りを愛する私にとって納得の行く主張です。(写真はイエラ・マリです。)