午後の3限ではスタンダールの『赤と黒』に付いてお話ししました。

 午後の3限ではスタンダールの『赤と黒』に付いてお話ししました。赤はフランス軍の軍服の色、そして僧侶の服は黒いことを暗に二項対立で上手に表しています。下川茂先生の文章に従ってハンドアウトを作ったのですが、スタンダールにとって望み得る最大の幸福は、この死せる母への愛、この世では実現不可能な愛を成就することだった。」と有りスタンダールには母子相姦的な感情が有ったことが明らかになります。スタンダールが物を書くことを天職にしていたことは次のように語られます。幸福は稀な、例外的な事態であり、常に確実に彼を幸福にしてくれるのは、ものを書くという彼の天職だけだった。」と有り大部の著作を成し遂げたスタンダールの成果が思われました。補足としてスタンダール研究家の鈴木昭一郎先生のテクストからお話ししました。「平穏無事の単調さと平板さと、華やかな青春の岐路に立った」時ジュリアン・ソレルは疑いなく後者を選ぶものと知れています。アランはジュリアン・ソレルを次のように評しています。「彼は新しい人間だ。自分のほとんど読者である上品な教養ある人々が我慢できないのだ。スタンダールの中に再発見されるもの、それは自由人の観念であり自己に対する義務の観念だ。と述べています。
 4限のフランス語6ではブラッドリー・ジョン君とルール・カロリーネさんと『星の王子さま』を原文で読みました。ビジネスマンとの対話で星の王子さまは「もしぼくがスカーフを「所有」していたら、それを首にまいて出かけられる。もしぼくがお花を「所有」していたら、それをつんでもっていける。でもおじさんは、星をつんだりできないでしょう。」と語ります。暗にビジネスマンを批判しているのですね。それからラトゥールの絵画を紹介するDVDを観て授業を終えました「いかさま師」「蚤の女「灯火の前のマグダラのマリア」などの謎めいた絵画が続きます。