午後は「ヨーロッパの文学」の残されたハンドアウトを考えました。

 午後は「ヨーロッパの文学」の残されたハンドアウトを考えました。来年の1月8日が授業再開となる訳ですが、この日はブノワ・マジメルがルイ16世を演じる「王は踊る」を観る予定で、残り2回は私の得意な『星の王子さま』をやって、最終回は「ロブ=グリエ文学講義を巡って」を講義する予定です。このハンドアウトは数年前の夏に「フランス文化放送」で放送された前衛作家のロブ=グリエの「作家生活への序文」をハードディスクに収めて、CDに焼いて繰り返して聴いたもので、聞き書きのノートも研究室に大切に取ってあります。ハンドアウトの中でロブ=グリエカフカ、フォークナー、フローベールたちの読書家の作家たちが小説の意識的挑戦を持ったことを高く評価しています。ロブ=グリエもこうした「読書家の作家たちが好きだ」と断言しています。ニューヨーク大学で五年間フランス文学を教えたことが有り、二十人ほどのクラスだったこと、フランス語が良くできる学生や教員を自由に教えたそうで、そこで読みの多様性に気が付いたとロブ=グリエは告白しています。例えばマルグリット・デュラスの『愛人』は納戸の中で息子がデュラスの古い写真を見つけた。欠けている写真を付け加えて虚構化したと言うんですね。まさしくデュラスに寄ってinventer(でっち上げる・発明する)されたものだ。存在しなかった写真をでっち上げたデュラスの頭の良さに感心します。ハンドアウトの最後にはロブ=グリエの本音が語られています。「私が重要だと思うのはフランス的合理主義、そしてフランス語=フランス精神なのだとロブ=グリエは語っています。前衛作家として出発したロブ=グリエがフランス文化の伝統に回帰したことはやはりロブ=グリエはフランスの伝統を重んじる作家だったのだと思いました。