学生諸君の卒論が気に掛かります。午後は研究室に出掛けて卒論の査読に取り掛かりました。

 学生諸君の卒論が気に掛かります。午後は研究室に出掛けて卒論の査読に取り掛かりました。Sさんの卒論は「ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟』〜カラマーゾフからの克服〜」と題されたもので、「善人の善行は悪人の悪行があって初めて世にその存在を知らしめることができるのだ。」と有り納得できました。情緒的ネグレクトに付いても深い分析が有り楽しめました。次のYさんの卒論は「昔話からみる東西の違い」と言うもので口承文学は笑い話、世間話、昔話(民間説話)(民話)伝説、民謡、田植唄、わらべ唄などに分析されると言うチャートが有り分かりやすかったです。その他に、なぞなぞやことわざ神話などが有ると記されていました。次のU君の卒論は「英単語の魅力」と題したもので、英単語を覚えないと、リスニングができない、リーディングで意味が分からない、英会話で自分の意志を伝えられない、ライティングで自分の書きたいことを書けない、などの弊害が有ると記されていました。細かい字義の分析も有りどれも納得の行くものでした。次の卒論はNさんの「オスカー・ワイルドサロメ』論〜サロメを取り巻くもの〜」と題されていて序章では作者の同性愛の分析から始まり、第1章では「見る/見られる」の関係性−−主体と客体−−と題されていて視線の分析が行われています。「月をみて独白するという形式をとることによって、登場人物たちは意識下のことをさらけ出し、その思いが照らしだされる。」と語られていて納得が行ったものでした。Tさんの論文は「萩原朔太郎論−−朔太郎の色彩−−」で『月に吠える』の青『青猫』の青、朔太郎の青、と続きます。Hさんの「村上春樹東京奇譚集』論は最初に「あちら側」と「こちら側」の二項対立を上手に利用しています。私たちの生活の一歩向こうには「あちら側」の世界が広がっている。」と有り好感が持てました。