国立西洋美術館の常設展を観賞してきました。65歳以上は無料で入れるので助かります。

 夏目漱石の『文学論(上・下』(岩波文庫)をコピーしてKOKUYOフィラー・ノートに貼り付けて読んでいます。序文に「当時金は洋行の希望を抱かず」と有ることからロンドン行きに消極的だったことが良く分かります。「余は下宿に立て籠もりたり。」漱石の意志が感じられて好ましく思います。木曜会を開いて弟子を啓発していた漱石が思い浮かびます。「倫敦に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。」漱石のロンドン嫌いが忍ばれます。「余はこの神経衰弱と狂気とに対して深く感謝の意を表するのが至当なるを信ず。」と有り創作の鍵がそこに有ったことが分かります。今日はじょぶんを読み終えて明日から本文に入るつもりです。
 国立西洋美術館の常設展を観賞してきました。65歳以上は無料で入れるので助かります。会場に入るとオーギュスト・ロダンの「バルザック(最終習作)」や「うずくまる女」や「オルフェウス」などが楽しめます。二階に上がるとロレンツォ・レオンブルーノ・ダ・マントヴァの「キリスト降誕」が楽しめます。パネルに寄ると独自の柔らかな輪郭と色彩の世界を特徴としています。」と有り美しい色彩に感銘を受けたものでした。ドメニコ・ブリーゴの新収蔵作品が有り「アレクサンドリアの聖カタリナを装う婦人の肖像」が有り本物かどうか分からないらしいので、落胆したものでした。ウイリアム・アドルフ・ブーグローの「少女」が有った同じ場所にベーテル・パウルルーベンスの「眠る二人の子供」が有りました。画家の兄の子、クララ(右)とフィリップ(左)を忠実に再現したらしいのです。コリネリス・デ・ヘームの「果物籠のある静物」は葡萄、白葡萄、烏瓜、洋梨、石榴、クルミ、桃などを精密に再現していて好感が持てました。バランスも良く纏まっています。ギュスターヴ・クールベの『波』は友人の岩佐倫太郎君の『印象派琳派がわかれば絵画が分かる』(舵社)に寄ると「ただ波は波だけ。この透徹したリアリズムは驚くべきことです。」(同書p.28)私も同感です。(写真はギュスターヴ・クールベの『波』です。)