ブリヂストン美術館で「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を観賞しました。

 午後は12時21分発の快速新木場行きで移動を開始しました。車中では幸い座席を確保できたので、川上弘美さんの『七夜物語(下)』(朝日新聞出版)を読みました。もっともっと知りたがる子供のような気分になってしまいます。赤羽で乗り換えて12時37分の大船行きで移動を続けます。東京駅で下車して24番出口から出るとブリヂストン美術館はすぐ近くです。ブリヂストン美術館で「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を観賞しました。シニア割引とリピーター割引が加わって何と300円で見ることが出来ました。2015年5月18日からビル新築工事に入るため休館すると有って、しばらくは見ることが出来ないのが残念です。ギュスターヴ・カイユボットの「ピアノを弾く若い男」は端正な顔をした若い男がピアノを弾いています。黒いピアノの表面には男が演奏する指先まで反射しています。クロード・モネの「雨のベリール」は奇岩の多い景勝地で、モネの心を捉え、モネは何度もベリールを訪れたそうです。画面には嵐によって荒れる白い波、岩を打ち付ける雨粒、煙る灰色の空などが描かれていて感銘を受けたものでした。ピエール・オーギュスト・ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」はパネルに寄ると注文に寄って描かれたそうで、脚を組んで椅子に座っている少女のあどけない画面は幸せな空気に包まれています。藤島武二の「黒扇」は白いベールを被った女性が右手に黒扇を持っています。大きな潤んだ瞳をしていて清潔な印象を受けたものでした。ポール・セザンヌの「サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」はセザンヌが大好きだった山を描いたもので、手前には黄土色のシャトー・ノワールが見えます。近景は森の風景で嵐が来そうな感じがします。ジョルジュ・ルオーの「ピエロ」はピエロの内に自分自身を見て数多くの道化師を描いたそうで、内面を凝視するルオーの立場に価値を感じたものでした。同じ作者の「郊外のキリスト」は3人の親子がひっそりと会話を交わしていて、キリストを20世紀に出現させたことが印象的でした。上野に舞い戻って国立西洋美術館の常設展も観賞しました。ドメニコ・ブリーゴの新収蔵作品「アレクサンドリアの聖カタリナを装う婦人の肖像」は美しい女性の肖像画で刃の付いた車輪と棕櫚の葉を持っています。遠景には窓から青い山が見えていて暗い空が広がっています。(写真は藤島武二の「黒扇」です。)